増配銘柄の「隠れた魅力」―YOC(Yield on Cost)とは?
多くの投資家が(というか僕が)、目の前の「配当利回り」という数字に注目しがちです。現在の利回りが高い銘柄は確かに魅力的ですが、その数字だけを見て投資判断を下すのは、未来のキャッシュフローを見過ごしているかもしれません。
そこで今回ご紹介したいのが、YOC(Yield on Cost)という考え方です。YOCは、「取得価額に対する現在の配当利回り」を示す指標で、以下の計算式で算出されます。
年間配当金 ÷ 取得価額 × 100
このYOCこそが、増配銘柄に長期投資することの真の価値を教えてくれます。増配銘柄は、その名の通り毎年配当金を増やしていく企業のこと。こうした銘柄に投資し続ければ、投資期間が長くなるほどYOCは上昇し、「時間を味方にした利回り」が着実に育っていくのを可視化できます。
ケーススタディ:高配当利回り銘柄(A社) vs 増配銘柄(B社)
具体的な例で、YOCの威力を見ていきましょう。
【前提条件】
・投資額:10万円(株価1,000円の場合、100株購入)
・投資期間:15年間
・税金:考慮しない
・配当金:再投資しない
A社(高配当銘柄)
・購入時の株価:1,000円
・年間配当:50円
・配当利回り:5%を維持
A社は、投資初年度から安定して5%の高い配当を受け取れる魅力があります。
B社(増配銘柄)
・購入時の株価:1,000円
・年間配当:30円
・配当利回り:3%
・特徴:毎年5%ずつ配当金が増えていく(増配する)と仮定します。
B社は、購入時の配当利回りはA社よりも低い3%です。しかし、増配を続けることでYOCは着実に上昇していきます。
・購入時YOC: 3%
・5年後YOC: 3.8% (年間配当約38円 / 取得価格1000円)
・10年後YOC: 4.9% (年間配当約49円 / 取得価格1000円)
・15年後YOC: 6.3% (年間配当約63円 / 取得価格1000円)
と、取得価格に対する利回りが高くなってきます。
B社は初年度の利回りが低いものの、15年後にはYOCが6%台へと成長しており、長期目線では高配当銘柄を上回る可能性があります。
未来を育てる増配投資の魅力
現在の配当利回りだけで判断するのではなく、YOCという視点を取り入れることで、より将来性のある配当投資が可能になります。配当金自体が成長していくことを考えると、なんだかワクワクしてきませんか?
短期的なリターンを追求するのであれば、購入時の配当利回りが高い銘柄に軍配が上がるかもしれません。しかし、自分は今後20~30年と長期で投資していく予定なので、増配株を中心にしていこうと考えています。
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